インフルエンザウィルス
インフルエンザウイルスは、幼児から老人に至る幅広い年齢層に感染する呼吸器系の伝染病です。

ウイルスってなに?

まず初めにウイルスとはどんなものかと言うと、細菌より小さく、電子顕微鏡でないと見ることができません。そして生きた細胞内でないと増殖することが出来ません。
大きさをもう少し具体的に言うと、例えばインフルエンザウイルスの粒子直径は約100nmで細菌であるブドウ球菌の直径約1000nmと比較すると1/10でとても小さいことがわかると思います。この小さなウイルス粒子は自己複製に必要な最小限の遺伝情報を担う核酸と言う物質を蛋白質の殻で包んだ粒状の形をしています。
でもDNAやRNAなど遺伝情報の要となる核酸と言う物質を持っているにもかかわらずウイルス自身にはエネルギーを作りだして代謝する事が出来ません。簡単に言うと一人では生きて行けないのです。このため、ウイルスは動物や人間などに感染して、感染した動物や人間(宿主と言います)の細胞を利用して、自分で持ってきたDNAやRNAをもとにして増殖していくのです。
インフルエンザウイルスも同様に人や動物に感染しないと生きていくことは出来ないのです。


なんで、インフルエンザになるの?

ではどのようにして、インフルエンザウイルスは私たちの体内に侵入するのかと言うと、喉や鼻などの粘膜から侵入します。このため、うがいは最も簡単で有効な予防法となります。難しい話になりますが、感染の仕組みを少し詳しく説明しましょう。
インフルエンザウイルスは、ウイルスの表面にある血球凝集素(haemoaglutinin;HA)が気道粘膜にあるシアル酸と結合することで体内に侵入します。 侵入し増殖したウイルスは、再び細胞表面から出ていきます。
このとき細胞表面にあるシアル酸と新しく出来たインフルエンザウイルスの血球凝集素が結合すると感染力を失ってしまうのですが、ノイラミニターゼという酵素をインフルエンザウイルスは持っていて、シアル酸を分解して感染力が失われないようにしているのです。このため、どんどんウィルスが体内にふえていき、発熱、関節痛などインフルエンザ特有の症状がでるのです。

 
インフルエンザの症状はどんなもの?

 1.急激な発熱(38度以上の発熱と悪寒)
 2.筋肉痛、関節痛
 3.倦怠感や疲労感
 4.頭痛
 5.咳や喉の痛み
普通のかぜと異なるのは高熱、筋肉痛、関節痛など全身症状が強いことです。また、気管支炎や肺炎などを合併して重傷化する事が多いのも特徴の一つです。このような症状が出現したら直ぐ受診してください。
(これは代表的な症状で全ての人がこの症状を起こすわけではありません。)


どうしたら防げるの?

規則正しい生活を心がけ、外出から帰ったら必ず、うがいと手洗いをしましょう。 ワクチン接種も有効です。

インフルエンザワクチン

ワクチン(vaccine)とは微生物もしくは微生物由来の抗原を移入し個体の能動免疫にもとずいて、感染に対する抵抗力を与える処置を予防接種(vaccination)と呼びこれに用いる抗原のことをいいます。
簡単に言うと、軽い感染状態を人為的に作り出して、体内にウィルスが侵入したら戦ってくれる抗体の訓練をしておくのです。そうすると、ウイルスが侵入しても良く訓練された抗体が直ぐにウイルスをやっつけてくれるので症状がでないですむのです。
また、軽い感染状態を人為的に作り出しているため、体調の良いときに接種しないとワクチンを接種したことで病気に
なってしまうこともあります。もう一つ大事なことは、症状がでてからではワクチンの接種は意味が無いどころか症状を悪化させます。
このために、ワクチンの接種には医師の診察が必要で、特に持病があり薬を飲んでいる患者様やアレルギー体質の方は注意が必要です。
インフルエンザの流行は12月から3月頃に集中します。インフルエンザワクチンは感染予防に必要な抗体ができるまでに接種してから約2週間位かかるので11月ごろまでに接種することが望ましいのですが、12月、1月、2月に接種しても無意味と言うことはありません。また、抗体の持続期間は約5ヶ月といわれているのであんまり早く接種しても良くないですし、ましてや去年接種したワクチンの効力は切れているので毎年、10月中頃から接種すると良いでしょう。

 
インフルエンザワクチンの副反応

接種部位のかゆみ、発赤、硬結、圧痛が多く、発熱する事もあります。また、まれにショックを起こす人もいます。

インフルエンザワクチンを接種した後は

 1.入浴は差し支えありませんが、注射した所をこすらないようにしましょう。
 2.いつも通りの生活をしてかまいませんが、激しい運動や大量の飲酒は  避けましょう。
注射の後の副反応と思われる症状が出現した場合はご遠慮なくご相談ください

どうすればワクチン接種ができるの?

まず、お電話でワクチンが有るか確認していただき来院される日程を決めていただき、体調の良い日に御来院ください。

インフルエンザに感染してしまったら。
 
治療

抗インフルエンザ薬があります。代表的なものは、タミフル、リレンザ、シンメトレル、などがあります。
最近は、タミフル、リレンザがよく処方されます。これらの薬は前に書いたノイラミニターゼを阻害することでウイルスの他の細胞への感染を抑制するのですが、インフルエンザは発熱してから48時間でウイルスの増殖がピ−クとなりその後は減少し始めるので48時間以内に投与しないと十分な効果が得られません。
このため、急な高熱の時は直ちに御来院ください。
48時間以上経過した場合は、対象療法が中心となりますが、細菌感染を合併していることもおおいので、抗生物質や解熱剤を投与する事もあります。